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2011年04月25日

オプションで大損失な話【鷹鳩】

先週はこんなニュースも飛び交ってましたね。

三菱UFJモルガンが11年3月期1450億円の赤字、人員削減へ(ロイター)


三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の三菱UFJモルガン・スタンレー証券(秋草史幸社長)は21日、親会社の三菱UFJ証券ホールディングスに対する300億円の第三者割当増資を実施し、資本増強すると発表した。

 金利や為替、デリバティブ(金融派生商品)などフィクストインカムの自己勘定取引の一部で、2011年1─3月期に993億円のトレーディング損失を計上し、11年3月期決算で1450億円の最終赤字になることが主因。大幅な損失を受け三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、リスク管理態勢の強化や人員削減、店舗の統廃合など経営の効率化を図る。



凄いですね…。トレーディングで993億円やられたってことです。巷ではスワップション(金利スワップのオプション取引)が要因だと言われています。

スワップションと聞いたとき、なるほどなぁとも思いました。なぜか? それは「オプション」という商品が損失を隠しやすいものだからです。このことについてtwitterでも書いたのですがご紹介しましょう。


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@オプションというと日経225みたいな上場モノが思いつきますが、実際はほとんどが店頭取引(OTC)取引です。上場モノだとオプションの評価はまさにそこにある値段なわけですが、OTCの場合、自分で評価することになります。ここが損も益も隠せるミソになります。

Aブラックさんとショールズさんのおかげで、オプションの価格はボラティリティさえ分かれば自動で出てきます。つまりボラティリティをどう評価するかがオプションの評価そのものになります。言うなればオプションはボラティリティの当てっこをしているようなものです。

Bさて、ではボラをどう評価するか。一番簡単なのは情報端末などの信頼のあるデータを使えばいいのでしょうが、1件1件が相対取引で条件もまちまちですから全てを網羅できません。結果的にフロントのディーラーが、自分で年限毎デルタ毎などマトリックスに入力していくことになります。

C自分のポジションを自分で評価する…これでは幾らでも不正できますから一応はリスク管理部門がチェックします。だけど、最前線のディーラーに「今のマーケットは云々、ボラのカーブが云々」言われたら何も反論できません。結果、ディーラーは損益を隠すことができます。それも不正ではなく、堂々と。

Dこんなケースも。ご存知の方も多いと思いますが、ボラは一般的にはATMが低くOTMが高いです。スマイルカーブというものです。本来ならば、このスマイルカーブをきちんと評価するモデルが必要なのですが、このモデルが無い場合、ボラの評価を全てATMでやらざるを得ません。

Eそうすると、OTMのオプションを売っただけで利益が出てきます。楽勝です。売っただけだとリスクパラメータが発生してあれなので、ATMのオプションと絡めて売買します。そうするとリスクパラメータはあまり変化せず利益だけが発生するという魔法みたいなことになります。

F逆に利益を上げすぎて次の年度に持ち越したい時、OTMを買い持ちにしとけば損失を計上できます。で次の年度でアンワインドすれば利益が発生と。損も益も隠せる、とはこういうことです。げふげふっ。

G自分がディーラーだったら…新規採用されたらまず大きくオプションのポジションを取る。そしてボラの評価を自分の都合の良いように評価する。大きな利益を上げてボーナスいっぱい貰う。利益が上がれば発言力も上がる。次第にボラの評価で文句を言う人もいなくなる。

H次の年度、さすがに隠し切れなくなってアンワインドせざるを得ない、今までの先喰い利益を全部吐き出して更にマーケットのボラでちゃんと評価すると巨大な損失…。


と、こんな話です。上記ニュースの損失が同様のケースなのかは分かりませんが、得てしてオプションという商品は損益をコントロールしやすいという側面も影響したと思います。

ちょっと難しい話でしたね…。


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posted by CFD at 20:21 | Comment(0) | オプション
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